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なければなりません。
誤解を恐れずに言えば、働く場、物を作り・創造する場、レクリエーション活動や社会生活体験の楽しみであるグルメも人として当然の営みとしておこなわれるべきです。と同時に、清潔な環境、快適な暮らしのためには、環境美化(清掃、ゴミの始末、除草)や人間関係の中で耐性を身につけるために可能なかぎり、ともに暮らしを体験し共感しあうことが大切であり、人として成長していかなければなりません。そうしなければ、私たちには理解できても、人々の真の理解と共感は得られないのではないでしょうか。
先の要項は、続けて「生活指導の根本であり生命というべきものはその指導者の態度であり精神である。生活指導は結局、指導者の問題に帰結するといっても過言ではない、…生活指導は指導者と彼らとのよりよい人間関係の基盤の上に立って、はじめて効果をあげ得るものである。…彼らへの生活指導技術の特徴は、彼らの欠点、弱点を補う点に義務がある」
今日的視点から見れば、「指導者」「欠点」等々その表現や考えには問題もありますが、ともに生きることの意味は伝わってきます。セーナー苑でも、遅ればせながら「さんづけ」「先生と呼ばない」という実践に踏切りましたが、今後指導者の役割はどうあるべきか、どう変るべきなのでしょうか。
さて、藤本さんの、「つらい生活もあったけれど、楽しかった」という思い出に続けて、吉田さん(昭和四十一年十月四目入所)が、「施設が大きくなってもっと楽しくなりました」とプラス思考でむすんでくれました。
私たちが、過去を振り返るときはマイナス思考に陥りがちですが、プラス思考でむすぶところが吉田さんたちの素晴らしいところであり、ともに生きた仲間として、見習いたいと思いました。

 

セーナー苑三十周年を迎えて

苑生代表 吉田辰夫
藤本暁子
わたしは、昭和四十一年セーナー苑に入りました。
水が少ししかでなかったので、ポリバケツとリヤカーで朝昼夕と水をくみに行きました。せんたくは、下の川でしたこともあり、ときどきせんたくものを流したこともありました。
冬は、こたつやアンカに使うまめたんに手を黒くしながら火をおこしていました。
とうじば、えいようしさんがおられなかったので、おばさんがいろいろ考えて作ってくださった食事を長いろうかをかよって食べに行きました。
いま思えば、つらいこともあったけど、にんずうが少なかったせいかとても楽しい思い出がのこっています。
いまは、にんずうがたくさんになったので、もっと楽しくなりました。りょこうやえんそくやいろんなぎょうじがたくさんあるのでとても楽しいです。
もみの木寮では四人でねていましたが、はるかぜの丘では二人部屋でのんびりねることができるのでたいへんうれしいです。もみの木寮よりはるかぜの丘は、たいへんあかるい寮でよかったです。
これからも、もっと楽しいおもいでをたくさん作りたいと思います。
おおくのみなさんのあたたかいはげましのおかげでがんばってきました。ほんとうにありがとうございました。

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創立三十周年記念式典での主な感謝状受賞者は次の皆さん

▽実習・雇用受入事業所ケンチ、サイプラ、二葉精密、大沢野町福祉協同センター、石坂樹脂工業
▽青年学級講師 小林定之、大谷和子、花柳源香、村民子、野村敦子、町田スズエ、梅原陽子、吉田律子、岡部八穂子
▽ボランティア富山YMCA、関西電力神通川電力所、富山中ロータリークラブ、不二越工業吹奏楽部
▽元理事長 本多幸男
▽元副苑長 金瀬邦男
▽嘱託医 滝邦彦
▽保護者役員 水上静子、秋濃美則、堀田和夫、山田豊次、佐藤正春、志甫利武、田辺清子、野岸千秋

 

 

 

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